レーティング招待枠が昨年より拡大され、若干参加者が少なくなったように思える今年の日本選手権予選。
その参加者100名あまり。権利は上位6名に与えられるということになった。
富井、高橋の両者はここまでともに5勝1敗であり、このラウンドを勝利すれば見事権利獲得というラインである。
富井といえばグランプリ京都2007のトップ4に入賞した経験もある実力者であるが、今年は残念ながら招待には
届かず、選手権予選突破に賭けることとなった。使用するデッキは、黒緑エルフ。
対する高橋のデッキは白黒トークンだ。アラーラ再誕で大幅に強化されたことからここ最近は非常に人気の高いアーキタイプ
であり、黒緑エルフに対しても非常に有利な戦いが出来ることが特徴だ。
しかし、富井の黒緑エルフはただの黒緑エルフではない。まずメインボードから《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》を採用し、
トークンに対する突破力を高めている。更に《献身のドルイド/Devoted Druid》からの高速《雲打ち/Cloudthresher》や、《叫び大口/Shriekmaw》
によりとにかく《幽体の行列/Spectral Procession》1枚で苦しくなるエルフの弱点をカバーした構成になっている。《不敬の命令/Profane Command》に
代えて《踏み荒らし/Overrun》を取っていることからも、対トークン戦術への意識の高さが感じられる。

果たして勝利の女神はどちらに微笑むか。広島行きの切符をかけた戦いが始まる。

Game1
ダイスロールの結果先攻は高橋。《潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Sculler》に《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》、
土地が5枚という手札をキープ。対する富井もマリガンなし。
まずは高橋の《潮の虚ろの漕ぎ手》が富井の手を曝す。その内容は非常に良いもので、充分なマナに《ロクソドンの戦槌》《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
というもの。白黒ではメインボードに対処手段がない《ロクソドンの戦槌》が抜き取られる。続いて高橋は《苦花/Bitterblossom》を
咲かせ、トークン生産体制を整える。《苦花》の登場により早めの攻めを余儀なくされた富井は《台所の嫌がらせ屋》《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
→《貴族の教主/Noble Hierarch》と一気に展開。この《台所の嫌がらせ屋》は《残忍なレッドキャップ》の的となるが、ドローで手に入れた《ロクソドンの戦槌》を
《台所の嫌がらせ屋》に纏わせて攻撃を開始する。《残忍なレッドキャップ》がこれを受け止め、次の的となったのは《貴族の教主》。高橋はやすやすとは攻めさせない。
ここで高橋は《風立ての高地/Windbrisk Heights》を置きつつ《幽体の行列》を繰り出し、盤面を掌握せんとする。
トークンの除去手段である《大渦の脈動/Maestrom Pulse》をトップしつつも、《行列》に対処するだけではヌルいとみた富井は、
《樹上の村/Treetop Village》に《戦槌》を装備させて攻撃し、《苦花》環境下にある高橋のライフを攻める。
だが高橋もただ攻められているだけではない。秘匿されていた《栄光の頌歌/Glorious Anthem》により一気にライフレースを詰め、
富井に一気に15点ものダメージを叩き込む。富井のライフはこれで残り15。
返しの攻撃ではゲームに勝てない富井は、トップデッキした《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》を戦場に送りながら《大渦の脈動》でトークンを
薙ぎ払う。この次のターンに《カメレオン》の攻撃で勝とうというプランだ。

しかし、高橋のライブラリトップに眠っていた《妄信的迫害/Zealous Persecution》が富井のこの目論見を崩した。

富井 0-1 高橋

Game2 
先手の富井がマリガン。追い詰められた形となったセカンドハンドも芳しくなく、土地が2枚、《叫び大口/Shriekmaw》が2枚に
《献身のドルイド/Devoted Druid》《貴族の教主/Noble Hierarch》というもの。マナは出せるが、単体除去だけでは心もとない。
一方高橋は好調で、《幽体の行列/Spectral Procession》から《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》という必勝パターン。
決まったか・・・と思われたが、ここで《雲打ち》が降臨!このタイミングで《雲打ち》を素出し出来るのが富井のデッキの売りだ。
この雲打ちが《黄金のたてがみのアジャニ》を飲み込むと、高橋は《台所の嫌がらせ屋》で時間稼ぎに出る。
ここで《妄信的迫害》を打って富井のマナベースを破壊することも可能だったが、高橋はその選択を取らずにこれを温存する。
富井は《叫び大口》によってこのチャンプブロッカーを退け、更なる攻勢へ。
7/7の怪物をどうにかしなければならない高橋。《変わり谷/Mutavault》を2枚クリーチャー化し、《妄信的迫害》との合わせ技でなんとか《雲打ち》を
討ち取るが、対応して出てきたのが2枚目の《雲打ち》。なんとかこれを《流刑への道/Path to Exile》で追放するも、
ダメ押しと言わんばかりの《野生語りのガラク》、《踏み荒らし》という連撃に高橋は耐え切れなかった。

富井 1-1 高橋

Game3
泣いても笑ってもこれが最後の戦い。両者は7枚の初手に満足する。
先陣を切った《風立ての高地》からの《幽体の行列》に対し、富井は《献身のドルイド》からの《カメレオンの巨像》で応える。
《風立ての高地》に隠されていたのは《台所の嫌がらせ屋》で、高橋は《妄信的迫害》によって-1/-1カウンターが乗っていた
《献身のドルイド》を退けながら6点のダメージを叩き込み、ダメージランド頼りとなっている富井にプレッシャーをかける。
富井は《苔汁の橋/Mosswort Bridge》によって《雲打ち》を秘匿しつつ、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を加えて秘匿解除を狙う。
《台所の嫌がらせ屋》が出てしまったので《カメレオンの巨像》が除去されることも視野に入れ、攻撃は行わない。

ここまでとにかくポーカーフェイスを貫いていた富井だったが、初めて動揺を隠せない瞬間が訪れた。《潮の虚ろの漕ぎ手》が、富井の切り札だった
《増え続ける荒廃/Incremental Blight》を追放したのだ。これにより、《台所の嫌がらせ屋》の対処がより難しくなる。
ライフに余裕はないが、このままでは《幽体の行列》トークンに広島行きを阻まれてしまうと富井は《朽ちゆくヒル》を決死のパンプアップ。
《変わり谷》と合わせパワー10を達成し、《雲打ち》を叩きつける。これで富井に残ったライフはわずかに6だ。
この《雲打ち/Cloudthresher》に対してはチャンプブロックしか応手がない高橋は、なんとか《神の怒り》にたどり着こうと時間を稼ぐ。
その間、《カメレオンの巨像》は高橋の《変わり谷》の攻撃をケアするために攻撃に行くことができない。
富井の表情を苦悶に変えたのは、高橋の《栄光の頌歌》からの《残忍なレッドキャップ》だ。標的は富井自身。3点のダメージが入り、
更にチャンプブロックによって富井のライフが1になる。富井、ここが正念場。

だが、追い詰めはしたもののその後続が高橋にはない。
頑強持ちのブロッカーを使い果たし、ライフも危険水域。富井逆転なるか!?。
しかしついに高橋は《神の怒り》を手に入れた。当然、その詠唱の前に《潮の虚ろの漕ぎ手》を送り込む。富井は《妄信的迫害》と読んで《樹上の村》を
2体クリーチャー化してこれをダブルブロックする。だが、これが悪手だった。《神の怒り》がこの《樹上の村》をも巻き添えにしてしまった。
更に高橋は《苦花》を設置。土俵際、富井は《ロクソドンの戦槌》を置き、高橋の《変わり谷》へのブロッカーとして《樹上の村》を立てる。
しかし《変わり谷》に攻撃されるとこれとは相打ちせざるを得ず、富井に残るのは《変わり谷》のみ。これは《苦花》のトークンと相打ちだ。
だが、高橋は《変わり谷》による攻撃を選択しなかった。これによって富井は《樹上の村》による《戦槌》装備→攻撃が可能となり、
ライフに余裕が生まれる。そして逆に、高橋が土俵際に追い詰められた。
そして次に襲い掛かる富井の《変わり谷》にも、トークン2体を差し出さざるを得ず、最後にはとうとう《苦花》が高橋のライフを吸い尽くした。

富井 2-1 高橋

これにより富井が日本選手権本戦の出場権を獲得した!

コメント

帝國
2009年6月15日1:23

読み応えあったわ。ありがとう。

nophoto
nanasi
2009年6月15日13:34

らっしゅよわす

nophoto
ななし
2009年6月16日15:11

↑ ラッシュはレーティング招待だよ、別人と思われ。

シミチン
2009年6月16日16:13

高橋さんが掲載の際に下の名前は伏せておいて欲しいと仰っていましたので、今回のような形を取りました。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索